ロジスティクス用語解説(あ行)
あ
アイドリングストップ
自動車が停車中にエンジンを停止し、排出ガスの削減、燃料消費や騒音の抑制などを図ること。客待ち時のタクシー、納品・集荷時間待ちや仮眠・休憩時、貨物積卸し時のトラックを中心に取組みが進められている。一方で、エアコンが使えなくなるなどの不便も生じるので、トラック事業者向けには暖を取れる蓄熱マットの導入などに対して補助制度が設けられている。
アウトソーシング outsourcing
限られた経営資源を中核部門に集中し、逆にそうでない部門、今まで自社で行ってきた業務を最新の知識やノウハウを持つ外部の専門企業に委託すること。企業にとって物流部門はアウトソーシングの対象となることが多い。一般的には輸送や保管業務のみならず、受発注などの情報、在庫管理、流通加工など物流機能全般を外部委託しようとする意向が強くなっている。また、これがアウトソーシングを受託する新たな物流市場(3PL市場)の形成をもたらしている。
アセット型 asset
3PL(サードパーティー・ロジスティクス)における事業形態の1つ。アセット(asset)は「資産」の意味で、輸送手段や倉庫や物流センターを保有し、企業ニーズに自社の資産で対応し、トータル物流サービスを提供する3PL業者のことである。アセット型に対して輸送手段や倉庫を持たないノンアセット型がある。
アソートメント assortment
区分したい品物に個々の仕向先情報が付いていない場合に、仕向先に対して要求数だけ区分けする作業のこと。一般にアソートメントを機械化する場合には、ソータを使うことが多い。同一品種の品物に各仕向先情報を与え、投入口より品物を流し、仕向先ごとに必要数量を区分する方式である(種まき方式)。同じような作業に、仕分け(ソーティング)、選品(ピッキング)があるが、前者の場合は個々の品物に仕分先情報が付いていることが多く、後者は品物を動かさずに、必要数を取り出す方式といった違いがある。
アプリケーション application
コンピュータが実際の利用場面で実用化される技術のことをいい、応用技術を訳される。かつては、コンピュータシステムの3大要素としてハードウェア、ソフトウェア、アプリケーションウェアと称されていたが、ウェアを省略してアプリケーション、略してアプリと称される。アプリケーションはコンピュータシステムの中でもっとも重要なものである。コンピュータのハードやソフトはコンピュータが動くためには確かに必須の技術であるが、実際に現場(エンドユーザーの所)において力を発揮するのは、その場に必要な、その場にふさわしいアプリケーションである。アプリケーションがなければ何も動いていないことであり、コンピュータシステムの中でもっとも優位な位置にあるのがアプリケーションといえる。アプリケーションこそ情報システムの中味、代名詞である。ところが、往々、コンピュータシステムを決定するさいは、ハードやソフトの性能や価格が優先する。本当に必要なことは、コンピュータシステムで何をなすべきか、現場にとって必要な情報は何なのかを決定するアプリケーションこそ要(かなめ)である。アプリケーションは業種別、業務別、用途別にいろいろ開発されている。具体的には、経営計画、経営管理、事務処理、科学技術計算、情報検索、機器制御、教育、行政、医療、交通、OA,SA,FAなどである。ロジスティクスにおけるアプリケーションには、CILSや物流情報システムが相当する。(JIS B 3500参照)。
安全在庫 safety stock
欠品を防止するため、不確実な需要量の変動を見込んだ在庫水準のこと。平均的な需要量のみを考慮して在庫水準を設定した場合、必然的に欠品が発生してしまうため、不確実性(安全係数)やばらつき(標準偏差)を考慮し最適な在庫水準を設定する必要がある。
安全在庫=ασ√T α:安全係数 σ:標準偏差 T:納品リードタイム
安全性優良事業所認定制度
荷主企業や一般消費者がより安全性の高いトラック運送事業者を選びやすくするとともに、業界全体の安全性向上を図るため、申請したトラック運送事業者の安全性を評価し、優良に値する運送事業者を「安全性優良事業所」として認定、公表する制度。国の指定を受けた実施期間((社)全日本トラック協会)が認定する。安全性優良事業所には、その証として認定マークおよび認定ステッカー「Gマーク」を使用することが認められる。1回の認可につき有効期間2年。
い
一貫パレチゼーション
palletization through transit パレット積みのまま発側発送から着側到着の荷卸しまで一貫して輸送する方式をいう。積卸しは主にフォークリフトによって行われる。積替えの省力化による作業効率化や時間の短縮などへの効果が著しく、コンテナやトラック、貨車の回転率が高くなり、また荷傷みが少ないなど多くの利点がある。難点とされるパレットの回収についてはパレットプールシステムで対処している。
一般貨物自動車運送事業
貨物自動車運送事業法では不特定多数の荷主の需要に応じ、有償でトラックを使用して貨物の運送を行う事業をいう。旧道路運送法の下での一般路線と一般区域を一本化した事業。従来あった営業区域は撤廃され、発着の区域を問わず貸切りまたは積合わせのいずれの営業行為も認められている。ただ特別積合わせ貨物については一定の条件が定められている。
移動体通信 mobile communication
移動することができる端末による通信。トラック輸送業においては、車両間および車両とセンターなどとの間で交わす無線通信であり、MCA無線などに代表されるように音声通話が中心であった。最近では携帯電話、デジタルMCA無線、通信衛星などを利用したデータ通信の利用が増えている。動態管理では、GPSにより得た車両の現在位置を、データ通信によりリアルタイムで送信することにより、センター側で走行車両の現在位置を把握することが可能となる。
移動棚 moving rack
設置面積を有効に使うため、入出庫に要する通路面積を1単位当たり1通路として、床面レール上を棚に移動させ通路位置を変更できる仕組み。収納量を大幅に増やすことができる。棚の移動方法には手動式と電動式とがある。
インターフェース interface
異なる機器、装置、回線など条件の違うシステム同士を連結する接点部分・接点を意味し、そのための手順、条件などをさす。インターフェースは通常、機器に組み込まれている場合が多く、ケーブルとインターフェースのコネクタにつなぐだけでよいようになっている。機械と機械の間だけでなく、機械と人間のコミュニケーションをよくするためのインターフェースもあり、マンマシンインターフェース、ユーザーインターフェースと呼ばれハードやソフトのすべてに使いやすさが要求される。GUIはその優れた例である。
インテリジェント物流
intelligent physical distribution system コンピュータコントロールによる物流機器や、コンピュータプログラムによって日常業務が処理され、意思決定に当たってコンピュータによるシュミレーションがふんだんに活用されるような物流システム。
イントラネット
インターネットの技術で構築したオープンな企業内ネットワークのこと。専用システムを導入するのに比べ、既に普及しているインターネット機器やブラウザで利用できることが利点である。
インボイス invoice
送り状または仕入書のことで、貿易取引においては、商用インボイスと公用インボイスの2種類がある。商用インボイスは買い手側に対する送貨明細書であり、請求書である。公用インボイスには領事インボイスと税関インボイスとがあるが、これは輸入国における通関の際の商用インボイスの真実性を証明するために、輸出国駐在の輸入国領事または輸出国税関が査証を与えたものである。
う
ウィング車 wing vehicle
側面開閉式のトラックの1種で、天井部分と一体構造の荷室側壁を同時にはね上げて、側面を大きく開放する方式。主に積載量4tクラス、10t以上クラスのトラックに利用されている。側面が大きく開放されることから、フォークリフトによるパレットなどの荷役が容易である。
ウォークスルー車 walk-through vehile
運転室と荷室が一体となっている段差のない構造のトラック。運転席から直接荷室に移動でき、しかも荷物の積卸しがバックドアからも、荷室後右側からも、運転室左側からもできる。もともと乗り降りが頻繁な宅配業務の運転者の利便性を考えて造られた車種。最大積載量1tクラスの分野を中心に普及している。
上屋 shed
荷捌き、中継作業などのために貨物を仮置きする施設。港湾においては、輸出入貨物を対象とする通関、一時保管を行う。なお関税法に基づき、通関前の外国貨物の一時蔵置場所として許可を受けたものを保税上屋という。
運行管理者
自動車運送事業者は、事業用自動車の運行の安全確保に関する業務を処理する必要から、運行管理者の選任配置が義務づけられる。運行管理者の任務は、
- 運転者の管理
- 乗務員施設の管理
- 常務割当表の作成
- 交代要員の配置
- 過積みの防止と積載方法の指導・監督
- 乗務記録などの保管
などである。運行管理者は貨物自動車運送事業法の社会的規制強化の方針に沿って重視され、事業所ごとに車両30両に1人の運行管理者を置く定めとなっている。原則として国家試験に合格しなければならない。
運行三費
車両の運行に直接要する費用で、燃料費、油脂・修繕費、タイヤ・チューブ費をいう。主に変動費の性質を持つ。
運送取扱事業
conditions of carriage、the freight forwarding business 当該事業は旅客運送取扱事業と貨物運送取扱事業とに分けられ、後者は1990(平成2)年12月1日に施行された貨物運送取扱事業法に規定されている。貨物運送取扱事業は、自ら鉄道、トラック、船舶、航空機等の運送手段を保有せず他の者の行う運送を利用、もしくは他の者に運送を取り次ぐことにより、利用者のニーズに適した運送サービスを確保する事業である。近年、物流に対する荷主ニーズが高度化、多様化する一方、実運送も大型化、高速化、専用化、ユニットロードシステム化が進むなど変化が著しいため、貨物運送取扱事業も単に実運送を補完するばかりではなく、荷主と実運送事業者との間の調整役として積極的な役割を果たすことが期待されている。貨物運送取扱事業法では、当該事業を利用運送事業と運送取次事業とに区分している。前者は、他の運送事業者の行う運送を利用して貨物の運送をする事業であり、荷主との間では運送契約を結び、運送責任を負う。後者は、荷主の依頼を受けて、自己または荷主の名において他の運送事業者と運送契約を結び、または、運送事業者からの貨物の受取りを行う事業である。
運送保険 transport insurance
陸上(河川、湖沼、港湾を含む)運送中の事故によって貨物に生ずる損害を填補することを目的とする損害保険。これに対し、海上運送の貨物に対する損害填補を目的とする保険は海上保険という。運送保険では、運送危険といわれる貨物の運送に際して生ずる一切の事故が対象とされている。ただし、約款である種の事故を保険事故から除外することはさしつかえなく、また一定の免責事由が認められる場合には、保険者が免責される。
運送約款 terms and conditions
運送人と顧客との間の運送契約の内容をあらかじめ定め、その条項を定型化し、多数の荷送人(または旅客)との間の権利義務の関係を迅速に処理しようとするもの。運送事業によっては、作成した約款について認可を受ける必要がある。ただし国土交通省が公示した標準約款を使用する場合は認可は不要となる。主なものに「標準貨物自動車運送約款」(一般貨物自動車運送事業が対象)、「標準引越運送取扱約款」、「標準宅配便運送約款」、「標準トランクルームサービス約款」などがある。
運賃率表(タリフ) tariff
運賃は通常、品目ごとに単位当たりの運賃すなわち賃率が定められており、この賃率を表示したものを運賃率表という。運賃率表は、多種多様な貨物について個々に運賃を協定する煩雑さを回避し、かつ不当な差別扱いを防止するため不可欠であるとされていた。しかし、規制緩和によって運賃の自由化が進められた結果、個別の契約ごとに運賃が取り決められるケースが増え、運賃率表に基づく運賃契約は減少している。
え
営業キロ程 business kilometer
鉄道・トラックの貨物運賃の算定基礎の1つで、運送営業を行う区間をkm単位で表示したもの。営業キロ程は実測kmを基に使用する場合と実測kmを割増または短縮した数値を使用する場合とがある。
営業倉庫 public warehouse
倉庫業法に基づき営業の登録を受けて寄託貨物を保管する施設でる。多数の荷主を対象とするので、自家用倉庫に比べて使用割合が高く、コストダウンが図れる。保管、荷役、包装、仕分け、流通加工、情報提供などの他に輸送の機能を備えたものが多い。料金は品目ごとに異なる従価率重量率の合算制で、期間期限が取られている。
営業トラック
自己の荷物を輸送するのでなく、受託によって有償で他人の荷物をトラック輸送することを目的とした企業あるいはその保有となるトラックのことである。貨物自動車事業法においては「一般貨物自動車運送事業(許可)」「特定貨物自動車運送事業(許可)」「貨物軽自動車運送事業(届出)」に分けられている。通常は一般貨物自動車運送事業のことをいう。営業トラックはその受託の方法によってチャーター(コントラクトキャリア)と混載(コモンキャリア)に分けることがある。
エコドライブ eco-drive
環境に配慮した自動車の運転を行うこと。排出ガスを抑制する運転方法は、結果として燃料消費も少なくなるため、「エコ」には「エコノミー」の意味も含まれており、経済的なメリットを得ることも目的の1つである。さらに急発進・急加速の抑制、早めのシフトアップ、定速走行などは安全性の向上にも結びつくため、事故防止の観点からも推奨されている。
エコロジスティクス
環境負荷を軽減し地球環境を考慮したロジスティクスをいう。具体的には自動車クリーン化(メタノール車や天然ガス車、ハイブリッド車、電気自動車等の環境対応低公害車)、エコドライブ活動(空ふかし・アイドリングストップ)、輸送の効率化(積載効率の向上、共同配送)、梱包資材の有効活用、モーダルシフトなどがおこなわれている。
エプロン apron
建物、ふ頭(港湾)、空港などの前面に突出している部分。
エンジニアリング engineering
基本的にはエンジニアリングとはデザインを意味している。エンジニアリングの一切の仕事の目的は青写真を創造することである。それは一種の処方箋のようなもので、その中で指定されているように実行すれば、期待どおりの結果が得られるはずである。指定されているように実行すればというのはシステムのことである。つまり、エンジニアリングとはシステムの設計活動を意味する。普通、日本語では工学といわれ、高額の起源であるエンジンengine(ラテン語のingenium)は古代から発明または天才の所産という意味であった。そしてエンジニアingeniatorは戦争の巧妙な兵器を発明して取り扱う人々を意味していたという。それが今日の工学へと成長してきたわけである。
お
オーダーエントリーシステム
order entry system 得意先からの注文をコンピュータに登録するシステムのこと。ロジスティクスもこのオーダーエントリーシステムからスタートする。入力方法はいくつかある。営業が受注した注文をキーボードで入力する方法、注文を認識装置のOMR、OCRで読み取る方法、携帯情報端末を利用するEOSなどである。企業間のオーダー情報のやりとりはEDIで行われる。
オーダーピッキング order picking
出荷指示のあった品物を、出荷先別に在庫からピッキング(集品)する作業のこと。シングルピッキングとも呼ばれる。人が品物のところへ移動してピッキングする方法と、人は移動せず、品物を自動的に搬出して行う方法がある。人力作業、機械作業、コンピュータと連動した半自動式、完全自動式があり、機器としてコンベヤ、フォークリフト、スタッカクレーンなどが使われる。
乙仲 shipping broker
旧海運組合法(1939年制定、1947年廃止)に甲種海運仲立業(賃率表によらない運送または船舶の貸渡し、もしくは売買に関する立会いによる海運仲立業)と乙種海運仲立業(賃率表による個品運送に関する海運仲立業)が規定されていたが、同法の廃止後も慣習的に乙種海運仲立業の略称として、乙仲の言葉が残った。現在、海貨業者を指して、一般に乙仲と呼んでいる。
オフレールステーション Off Rail Staition
貨物列車の発着はないが、既存の貨物駅と同様のコンテナ取扱機能を持つ施設のこと。ORSと列車発着駅(拠点駅)間の輸送は大型トラックにより行われる。第1号は、2000年10月に埼玉県羽生市で開業した羽生ORS。2006年4月より、従来の自動車代行駅とコンテナセンターについても、呼称がORSに変更された。
折畳みコンテナ folding containaer
主要部分が、簡単に折畳んだり分解でき、反復使用するため再び組立てられる構造のコンテナ。略してオリコンと呼ぶ。箱形の通い箱などの輸送容器、粉粒体に用いるフレキシブルコンテナなどがある。なお、折畳み箱(折畳んだ状態の紙器製箱)を含めて、折畳み容器という。
音声入力装置
voice input unit、voice encoder 人間の声や言葉をコンピュータにデータや命令として入力する装置である。入力の方法としてはもっとも簡便であり、究極の手法ではあるが、スピードはキーボードやOCR等に比べて遅い。人間の声をコンピュータで判断することを音声認識といい、登録した特定の人の音声だけ入力できる方法と不特定の人の音声でも入力できる方法とがある。また、単語や文章まで識別するようになりつつある。ロジスティクスでは自動仕分装置の指示情報入力に導入されている。
オンラインシステム online system
コンピュータシステムのデータ処理で、データの入出力を行う周辺装置や端末装置などが、中核のコンピュータと直接または通信回線などで直結している方式。端的には、線で結ばれているのがオンラインで、有線、無線いずれでもよい。結ばれていないものはオフラインである。オンラインシステムの初期の代表的なものが座席予約システムで、全国どこからいつでも予約できるのはオンラインの結果である。ロジスティクスでも、貨物追跡システムはオンラインでなければ次々と移動する貨物の追跡は不可能である。在庫が分散、商物分離していても、中央のコンピュータで一括管理し、いつでも在庫照会できるのもオンラインシステムの賜である。オンラインシステムの処理タイプとしては、ひとつは実時間処理のオンラインリアルタイム処理システムであり、他はデータはオンラインで入力されても処理は後刻となるオンラインディレイドタイム処理(リモートバッチ処理)システムである。目的によってこれらは使い分けられる。常時、在庫引当てを可能とさせる在庫更新は前者であり、日報作成は後者である。
オンレール on rail
鉄道輸送は通常、ステーション、(ターミナル)・ツー・ステーション(ターミナル)である。したがって鉄道輸送を完結させるためには、両端の鉄道以外による輸送と結合させねばならない。この大きな意味での鉄道輸送のうち、鉄道部分の列車による輸送部分をオンレールと呼ぶ。したがって同じ距離でも、鉄道輸送と自動車輸送を比べてオンレールとオンロードで運賃や時間の比較をしても、実際は同じ条件での比較にはならない。一般に鉄道運賃はオンレール運賃とそれに集配・配達などの通運料運賃を加えてものである。